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村上春樹氏に見る内向型のもう1つの道

みなさん、こんにちは。久しぶりの更新です。

村上春樹さんの新著が一週間で100万部を突破したそうですね。純文学の作品がこれほど話題になるというのは、彼以外にはありえないことでしょう。

もしかしたらこのブログの読者のみなさんの中にも、既に読まれた方がいらっしゃるのではないでしょうか。

色彩.jpg
『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』

タイトルからして彼らしいですね。

私にとっても特別な作家です。

彼の小説がこれほど売れる理由の1つは(余りある魅力のうちの1つですが)彼の文章を読むことで、心を静かに落ち着けることができるからだと思っています。

それが特に内向型の人間にとっては、とてもありがたいセラピーとなります。

世の中の半分は存在している内向型の人達。それでいて社会ではそうも言っていられずに、外向型のフリをして社交的に振舞っている人達。

そういった人達は氏の小説を読むことで、自分が切り離して生きることのできなかったもう1つの内的な人生を、活字を通して生き直すことができるのだと思います。

読むだけで不思議と心が静まって落ち着いていく。

何かが取り戻されていくような、回復していくような感覚がある。

彼の小説はメインテーマとは別に、そういう側面があると私は感じています。

そして今日、彼のことを取り上げたのは、小説の内容だけではなく、村上春樹氏の考え方や生き方が内向型やHSPの私達にとって、とても重要な示唆を与えてくれているからです。

インタビューを読んでみるとわかりますが、村上春樹氏はかなり筋金入りの内向型人間です。

夢を見る.jpg
夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです 村上春樹インタビュー集1997-2011 (文春文庫)

彼は自分のことを人付き合いの悪い人間だと語り、そして物事の理解の仕方も非常に時間が掛かる(書いてみるまでわからない)タイプの人間だと言っています。

そして「文壇」という作家同士のコミュニティにも参加せず、有名になってしまった日本から逃げるように海外に移り住んで、一人で独自の小説手法を模索してきました。

生活にも全く派手さはなく、毎日夜9時に寝て、朝4時に起きて小説を5時間書き、その後は小説を書くスタミナを維持するために10キロ走る。

そういう生活を毎日きっちりと継続しているそうです。

派手な社交やスリリングな体験は好みません。

ひたすら規則正しく、毎日創作活動の中に入っていく。

そこで面白いと思うのは、文壇や社交から距離を取り、マスコミに出ることも嫌い、完全に内向して自分の中に入っていった結果、今最もノーベル文学賞に近い作家として世界中に熱狂的なファンを持つに至っている点です。

つまり、内へ内へと内向して自分に忠実になることで逆に、最もワールドワイドに広く世界に影響力を発揮している。

これは興味深い逆説です。

そして私達に大切な示唆を与えてくれます。

最初の文学賞を受賞した1979年。

新人作家だった彼が批評家や同業の作家と親交を大切にし、世の中のニーズや文壇のトレンドに注意を払いながら仕事をしていればおそらく、彼の創造の泉は早々に枯れていたことと思います。

そして平凡な作家になっていたことでしょう。

でも彼は自分の感覚に忠実に、自分にとって真実だと思える小説の方法を模索しました。

その結果、日本の文芸評論家からは「彼の文学は偽物」だと、かなり痛烈な批判に晒され(嫌われ)続けました。

でもそういった批判に耳を貸さず自分の感覚に忠実に、自分の文体を磨いていくことで、世界中に熱心なファンを獲得していったのです。

外を無視して内向を選んだ彼の仕事が、最も世界に影響力を持つという逆説。

個人的であればあるほど、普遍的になりうるということ。

これは誰の身にも起こりえることです。

例えばこのブログもそうです。カウンセラーのブログとして、私は元々は別の所に役立ちそうな心理の記事を書いていました。

その時に来てくださったクライアントさんは、遠くても隣の県からで、それほど影響の範囲は広くありませんでした。

それが、自分の感覚に忠実に、ちょっと普通では理解されないかもしれないような感覚も正直に、自分に忠実に書き始めると、大阪のオフィスにわざわざ東京や福岡県から来てくださるようになりました。

自分の内側に深く入り、忠実になればなるほど、強く遠くへメッセージは届いたのです。

外に合わせようとする努力や世の中のニーズに合わせる努力ももちろん大切ですが、自分の内面を掘り下げ、自分に忠実であることを通じて外側に影響力を広げるような、もう1つの道があることを知ってください。

そして、このブログを読んでらっしゃるあなたにも、内面を掘り下げることで価値を生み出す偉大な力が備わっていることを、どうか忘れないでくださいね。

自分に忠実でいてください。

掘ることを止めないでください。

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10 Comments

うぃぜー

初めまして。つい最近HPS診断から、先生のブログに辿り着いた者です。
他人との交流の場で意見を求められても、その場では何も表現出来ず、1人になって、改めて考えてみて初めて自分が何を考えてたのか解る。そんな経験をする度に、なんで自分は駄目なんだろうと悩んでおりました。
ブログを拝読させていただいて、これからゆっくり、いくつかの自分と言う性質や潜在意識と付き合っていこうと思いました!CDも勢いで購入させていただきました。
生き方が楽になったような気がします。ありがとうございます。

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管理人

うぃぜー様
こんにちは。
ブログを読んで頂いてありがとうございます。
一人で考えて初めて自分が何を考えていたのか解る。←これはとても良くわかります。個々の読者には多いのではないでしょうか。
最近は訓練で乗り越えられましたが、私も昔もまさにそれでした。
自分の性質を理解しつつ、訓練も入れつつやっていきましょう。
CDも是非ご活用ください。ありがとうございました。

返信する
emi

管理人様
こちらのブログと出逢って、言葉に表現出来なかったことが記され、解き明かされたような気がして、年末にプログラムを購入させて頂きました。
お陰さまで、爆破法にはとても助けられています。
フォーカシングは、結構、根気のいる作業で、ずっと遠のいていました。
今回のブログを読んで、~掘ることを止めないで下さい~という、一文を目にしたとき、引き戻された感じがしました。
(内側に向かうことを)止めないで下さい
そう唱えると、中心からス―ッと降りていって、心もとなかったところが、しっかり安定する感覚があります。
一進一退ではありますが、少しずつでも、自分に合った生き方がしたいなと、改めて思いました。
有難うございました。

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管理人

emi様
こんにちは。
HSPプログラムをご利用いただいているのですね。
ありがとうございます。
爆破法がお役に立っているようで幸いです。
そうですね。毎日フォーカシングする必要はありませんが、心がざわついた時には挑戦してくださいね。
内面につながればつながるほど、私たちはエネルギーを得ることができます。
応援しています。

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emi

はい(^^)
フォーカシング、毎日じゃなくても良いのですね。
日常生活の中で、心がざわついた時、今までは持て余しているだけでしたが、今では…~(ちょっと待っててね。後でちゃんと聞くからね)~… と声をかけて、眠りにつく前などに、HSPプログラムを活用させて頂いたり、ブログを読み返したりしています。
最近では、大切な時間になってきました。
大きな変化は自分に問いかけるようになったことです。以前から無意識にしていたのでしょうが、意識してしているというのが、大きな違いです。
こちらのブログと出逢って半年……出逢えて良かったです。有難うございました。これからも楽しみにしています。

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管理人

emiさん
こんにちは。
フェルトセンスに「ちょっと待っててね~。後で聞くからね~」と声かけて、後で聞いてあげるのは、とても良い方法ですよね。
私もよくやります。
心のざわつきが収まって、自分の全体が納得して行動できると、些細なことでも幸せ感を感じられますよね。
そんな風に役立てて貰って、本当に嬉しいです。
励みになります。
ありがとうございました。

返信する
tk

Voncent Gallo氏、自分はファンなのですが、彼も同じ方向性で才能を発揮していると思います。
非常に繊細な音楽、絵画、映画を手掛けています、皆さんにも勧めたい。

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管理人

>tkさん
こんにちは。
ヴィンセント・ギャロ氏ですか。
確かに繊細な表現をしますね。
学生の頃に「バッファロー66」を観に行きました。
絵や音楽もされているんですね。初めて知りました。

返信する
Akira22

HSPについて調べていて、辿り着きました。
貴方様の考え方に、感銘を受けました!
素晴らしい考察だと思い、コメントしたくなりました。

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