カウンセリングをしていて嫌というほど思い知るのですが、
今の時代の『恋愛至上主義』とか、『ロマンチック・ラブ・イデオロギー』みたいなものは、解体しないとダメですね。
恋愛した先に結婚があるみたいな風潮。
恋愛結婚こそが自然で、お見合いしてまで結婚するのはちょっと…、みたいな風潮は完全に間違っています。
カウンセリングで30代40代のいろんな人の話を聞くと気付くのですが、
どうやら人口の3分の1くらいの男女は、そもそも恋愛的なエネルギーをあまり持ち合わせていないようなのです。(私がカウンセリングで見た範囲では両親がお見合い結婚の方に多いようです)
その人達は結婚はしたいし子供も好きで、子供を育てる気もあるけど、恋愛して相手と情熱的に結ばれるようなエネルギーは出てこない。
でも、それがダメかというと全然そうではなくて、彼女たちにとってはそれが自然で、それで十分素晴らしいのです。
恋愛のエネルギー(Loverのアーキタイプ、あるいはエロース神の属性)を持っていない女性というのは、
昭和の女性像のように控えめで欲が薄く、家庭的なのです。(話していてもとても魅力的です。)
Loverを発揮して男性を誘惑するような力はないけれど、結婚相手として男性をあてがわれると、その人を受け入れて尽くしていく受容の力がとても強い。
自分を1歩後ろに置いて、主人や子供たちを優先することができる。
(こんなこと言うと女性蔑視と怒られるのだけど、元々が控えめな彼女たちにとって女性解放や女性の自立の流れは、負担と生きづらさしか生み出していないのです。)
もちろん浮気もしません。
困難にも不平を言わず耐えていく力がある。
つまり素晴らしい女性なわけです。
日本が誇る女性、大和撫子なのです。
そんな素晴らしい女性の多くが、恋愛結婚が当たり前の現代の風潮の中、パートナーを見つけられずに困っているのです。
自分から男性を求めたり恋に落ちる力が弱いので、当然ですね。
彼女たちは控えめであるがゆえに、自分から男性のいる場所に出向いたりしないのです。
ここでも慎ましく待つしかできないのです。
だからと言って結婚を諦めてキャリアを積みたい!というような野心も欲望も無いので、この先どっちを見て進んで良いのか、人生の迷子になっているのです。
そう言うと「主体性が無い!」と言われるかもしれませんが、それは最近になって西洋から入ってきた価値観であって、
そもそも主体性を持たずに全てを受け入れる力こそが彼女たちの本領(Mother Earthのアーキタイプ)であり、
それは家庭を支える上では最強の力なのです。
つまり、彼女たちは明らかに結婚して家庭を持つという才能に秀でているのに、
恋愛は向いていないので、恋愛結婚ができないでいる。
では、お見合いすれば良いじゃないか?と言われるかもしませんが、時代の趨勢(恋愛結婚こそ善)という流れに逆らわずに全てを受け入れるのが、彼女たちの受容の力。
ここでも彼女達はただ受け入れて待つことになるのです。
そして、その結果、自分の才能を発揮できる家庭という場を持てないので、人生の正解感が感じられない。
だからといって情熱を注げる仕事や夢があるわけでもない。
こうして大和撫子は人生の迷子になってしまっているわけです。
さあ、どうしたものか。
そこで健気な彼女たち。
Loverが弱い自分を欠陥人間のように思って、Loverを開発するために女性性開発講座なんかに参加して、経済の食い物になっていたり、
自分の素晴らしい才能を否定して、まずは恋愛気質に自分を変えてから結婚しなければ…と努力していたりする。
変わらなければ…という、前向きな自己否定。
違う!
と私は声を大にして言いたいのです。
そうではない。
Loverが弱くて、受容の力が強いというのは女性のとてつもなく偉大な力なのです。
これこそが女性性のエッセンスなのです。
家庭を支え、旦那と子供を主役にする力なのです。
この慎ましい受容の力こそが、私達の命を支えてきたものです。
何も無理してLoverになる必要は無いのです。
私の友人にLover全開の女の子がいます。
その子は3回恋愛結婚をしています。
そして3回離婚して、今でも常に新しい年下の彼氏がいます。
これがLover全開の生き方です。
良い悪いではなくLoverを開いた彼女は恋愛を通じて男に悦びを与えることが天命なのです。
でも、結婚には向かない。
結婚には穏やかな持続力と自分を明け渡す慎ましさがいる。
結婚に向く女性というのは、Loverが弱く自分の個人的な欲望も薄かったりします。
子供の頃に「将来の夢は?」と聞かれてもピンとこなくて、「お嫁さん」と答えていたような女の子達です。
そんな控えめで目立たない女性こそが日本の家族を支え、自分の人生を捧げ、子供達を育てていってくれた偉大なるマザー・アースのアーキタイプの持ち主です。
世の中の家族と命の流れを担う存在なのです。
だから、彼女たちが結婚して家庭を持てるように、もっとお見合いというものを復権させなければなりません。
お節介なおばさんみたいに、大人しい彼女達と大人しい男達(良いお父さんの資質はあります)を引き合わせる役をする人がもっともっと必要ですね。
この記事を読んで「私のことが書いてある!」と感じた方は、恋愛する努力よりも、
「恋愛しなければ結婚がない」という観念を捨てる努力の方が実り多いかもしれません。
自分には何もない…と思ってきた人たちは、実は『受容』という偉大な力を持っています。
それをどうぞこの人生で使ってください。