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心のレジリエンスを高める自分との関わり方

みなさん、こんにちは。カウンセラーの佐原です。

師走に入り寒くなって来ましたが、いかがお過ごしでしょうか。

 

今日は『自分との関わり方』というお話をしたいと思います。

普段に心の中で自分自身にどのように接しているか?ということです。

心理療法やカウンセリングを通じて見違えるように良くなり、もはや多幸感と言っても良いような状態で過ごしていらっしゃる方もいらっしゃって、

そういう方に何が起こっているのかというと、自分との関わり方がとても愛に満ちたものに変わっているのですね。

何かミスをしたりストレスがかかった後の心の回復力(今流行りの言葉で言うとレジリエンス)も高く、安定感が出ている人というのは、確実に自分への接し方が変わっています。

では、自分へのどんな関わり方が幸せや心のレジリエンスを高めるのか?

今日はそのゴールイメージとして掴んでいただけたらと思います。

意識して実践するだけで楽になる方、生きやすくなる方も多いと思います。

それでは始めましょう。

私達には「親の自分」と「子供の自分」がいる

 

まずはじめに基本原理から。

「交流分析」といった心理学では、自己の中には大きく分けて3つの人格があると言われています。

わかりやすいので、私もよくこのモデルを使います。

・親の自分

・大人の自分

・子供の自分

の3つです。

これらの人格が場面や相手に応じて、出てきたり引っ込んだりすることで私達は人格の柔軟性を持って生きていられるわけです。

そして、情緒に安定感がある人、回復力が高い人というのは、子供の自分と親の自分との関係がとても安定しているのですね。

いつも機嫌が良かったり、失敗してもあまり落ちこまなかったり、あるいは落ち込んでも浮上するのが早かったり、

そういった人は、親の自分が子供の自分に優しいのが特徴です。

ここで少し実験をしてみましょう。

会社でのプレゼンテーションでも学校での発表でも良いのですが、

大きな失敗をして恥をかいたとしましょう。

その後、一人になった時、あなたは自分にどのような声をかけますか?

もちろん実際に声に出しているわけではありませんが、失敗の後に人は心の中で何かをしているものです。

それが「自分への接し方」です。

これは無意識に癖のように行っているが故に、人によってかなり個人差があるところです。

内的関わりの4つのパターン

 

自分への接し方には、大きく分けると以下の4つのパターンがあります。

・自分を責める、失望する

 

「はー。ダメだなー。なんでこんなことも出来ないんだ!ほんと自分はダメだな…」

典型的な自己否定ですね。カウンセリングに来れられる方に一番多いパターンです。

人によってはミスした瞬間に自分に「死ね!!」と言うことが癖になっている方もいらっしゃいます。

それはあまりに辛すぎますね。止めてあげてくださいね。

・無関心 否認

 

失敗した瞬間に「さあ、次の仕事に集中! 今日は美味いものでも食べよう。あ、そうだ帰ったらあの映画を見よう!」

これは失敗のことは一切考えず、意識の方向性を変えて、失敗そのものを無かったことにする高等技術ですね。

ですが、これは否認した現実と失敗した恐怖感情は処理されることなく無意識にストックされていき、それが蓄積されることで、どんどん怖がりになって行き、やがては心のバランスを崩してしまいます。

自分の心の中に見てはいけない場所が増えていくので、「心」という素晴らしいツールがどんどん使えなくなって行くのですね。

このパターンを採用している人は、かなりの生きづらさを感じていたり、仕事や人間関係に様々な問題が生じていても、改善しようとされる方が少ないのが特徴です。

隠してきた問題が大きくなりすぎて、直視できなくなってしまっているのです。

・プラス思考

 

「こんなの大した失敗じゃないさ! しっかり言いたいことは伝わってたし!◯◯さんは良かったって言ってくれたし! よくやった自分!」

上手くいったところにフォーカスをしたり、物事をプラスに捉えて気持ちを上げる方法です。

こういった方法に巷で喧伝されているほどの効果が無いのは、プラス思考というものの中にマイナスな感情への否認が入っているからです。

程度にもよりますが、自分の身体感覚を意識して自分軸の統一感や着地している感じ、強くなる感じがあるのであれば大丈夫なレベルです。

否認を含むプラス思考は、身体の一部は気分が上がっていても、みぞおちの辺りに違和感があったりします。

これも長期的には、自分との一体感(自己一致)を損ない、力を奪うものなのでオススメしません。

・受容と共感

 

「あちゃー。やっちゃったねー。まあ、こんなこともあるなー。やれやれ。でもまあ、自分なりに頑張ったね。良くやったよ。初めてだしね。偉かったよ。次は頑張ろう。ちょっとずつ上手くなっていくから大丈夫だよ。」

これが一番理想的な関わりですね。

こういった言葉や思いに、優しい愛情のエネルギーやユーモアが乗っていると、心はすぐに持ち直してくれます。しっかりとネガティブ感情を受け止めるとやがては自然にプラス思考になって行きます。

こういった優しさで接していると、失敗しても攻撃されないという安心感を持ち、無意識は失敗を恐れなくなり、緊張することも減って行き、結果的に仕事のパフォーマンスが上がります。

これが今回、みなさんに身につけて欲しいと思った、あり方です。

親の自分 → 優しい眼差し → 子供の自分

イメージとしては、おおらかな心を持ったお爺ちゃんとかお婆ちゃんのような感覚です。

それくらいの優しさで自分に接していると、心がくつろいで機嫌よく生きられる時間が増えていきます。

そして、自分に対してこのような接し方ができるようになると、他者に対しても同じおおらかさで関わることができ、人間関係、特に身近な家族やパートナーとの関係が劇的に良くなります。

 

結局、幸せは心が作っている

 

以上のように、外側で起こっている現実が全く同じだったとしても、ある人は刃のような鋭い言葉で切り刻まれ、ダメージを蓄積して生命力を失って行き、

また、別のある人は、サポートされ愛情を感じ、自己信頼を深めて行きます。

この違いは、自分がどのように自分に接しているか?その関係性によるものです。

幸せの研究から始まった心理学(ポジティブ心理学)の研究でも

幸せや生きやすさというものに、外側の現実はそれほど関係が無いと言われています。

でもここで1つ疑問が出てきます。

では、なぜ人によって、自分との接し方がこれほどに違うのでしょうか?

この違いは、

単に生まれながらの性格なのでしょうか?

それとも、子供の頃にたまたま採用した自分との関わり方が癖になっているのでしょうか?

それには、子供の頃の両親との関係(特に母との関係)が影響しています。

人は親を内在化させて持ち歩いて生きている

 

私たち誰もが生まれたときは3つの自分ではなく、子供の自分としてしか存在していません。

その後、親が自分にどのように接してくれたかを元に、その親を自分の内面に取り込むことで「親の自分」を獲得します。

つまり、人は特に意識していない限り、

親が自分に接したように自分に接しているということです。

これまで見てきた「親の自分」とは、内在化された実際の親なのです。

心理療法で心の変化や思考の癖を変えるために、過去の両親との関係を扱うことが多いのはそのためです。

意図すれば変えられる

 

さて、いかがでしたでしょうか?

あなたの中の3人、特に「親の自分」と「子供の自分」はいかがお過ごしでしょうか?

仲良く穏やかな関係を築けていますか?

親の自分は厳しくもおおらかに愛情深く、子供の自分はそれを信頼して安心して無邪気にチャレンジして生きている。

そんな状態が理想です。

でも、親の自分が攻撃的過ぎて子供の自分が傷ついていたり、萎縮して生きる勇気を失っていたとしても、ご安心ください。

改善の余地は大いにあります。

あまりに親子関係の傷が大きい場合はセラピーをオススメしますが、今日からご自分で意識することでも改善は可能性です。

自分の身体の感覚(胸やお腹あたり)に向かって、今日1日の頑張りを優しくねぎらったり褒めてみてください。

どんな感覚がしますか?

慣れないことで少しざわつくけれど、まんざらでもない甘い感覚がある。

そういう場合は上手く行っています。これからも意識して続けてみてください。

でも、何度やっても抵抗や嫌悪感の方が大きい場合は、無理せずに止めておいてください。

無意識が二重構造になっていて、自己否定をすることで存在することを許されているケースがあります。

そういった場合、無理に自己否定を止めると、その奥の存在の不安が出て来て逆につらくなってしまうことがあります。こういうケースはご相談ください。

3つの自分がそれぞれに信頼関係を築き、イキイキと生きている。

その状態であれば、外側の現実がどうであれ、毎日生きているという活動そのものが喜びに満ちています。

そんな状態を目指して、今日から「親の自分」の言葉遣いを意識してみてくださいね。

 

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